ヘンリー・ジェイムズ『鳩の翼』DVD
1997年イギリス映画、本編約120分、日本語字幕
発売元：アスミック、販売元：パイオニアLDC
定価：￥4,700（税抜）

監督 - - - イアン・ソフトリー
製作 - - - デイヴィッド・パーフィット
原作 - - - ヘンリー・ジェイムズ
脚本 - - - ホセイン・アミニ
Cast
ケイト - - - ヘレナ・ボナム・カーター
マート - - - ライナス・ローチ
ミリー - - - アリソン・エリオット
スーザン - - - エリザベス・マクガヴァン

監督の言葉
　ヘンリー・ジェイムズの語る魅力的な物語と野心的な登場人物たちの中に、私たちはエンターテインメントになりうるきわめて現代的な物語、 人を愛しながら同時に裏切ることもできるという複雑な愛の三角関係を描く大胆な心理小説を感じ取った。
　ジェイムズのすばらしく豊かな登場人物たちを20世紀末の目で眺めることはめったにない機会だった。私たちは意識的に、ケイト・クロイ、 マートン・デンシャー、ミリー・ シールをジェイムズの時代のような尺度で裁かないようにした。むしろ、彼らはむずかしい選択を余儀なくさせる新しい世界で、自分ではどうにもならない感情にとらわれてしまった、共感できる若い男女だと思えた。
　ジェイムズは文学における最初のモダニズムの作家だと言われることがある。 彼の女性描写は特に現代的だと私は思う。 彼の描く女性は新しく力強い性的、社会的な自由と、いまだに根強く残る因習との板挟みになっている。 彼女たちは世界の男性ヒーローたちの大部分と同じように、いつも冒険的で危険な内なる情念の生を生きているのだ。
　ケイト・クロイはある種のアンチ・ヒロインで、道徳的に不確かな人物だが、それが彼女の魅力にもなっている。 彼女がもっとも魅力的になるのは彼女の暗い面が色濃く出た瞬間であることが多い。だが、私は観客がジェイムズの時代のように彼女を罰してほしくないと思った。彼女の性格はずるいというよりは、悲しいほど人間的なのだ。彼女の 選択は強い欲望の結果、愛を失うという暗く美しい物語を描き出す。 それは百年前の世紀のかわり目と同じく、 今日でも魅力的な筋書きとテーマをもつ物語だ。
　　　　　　　　　―　イアン・ソフトリー　―

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